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VOL.6 フィオナ・フロストを映し出す「ハートコーンチェア」

『SPY×FAMILY』6巻の表紙で、西国情報局WISE所属の女性スパイ「夜帷(とばり)」ことフィオナ・フロストが腰かけているのは、1958年にヴァーナー・パントンがデザインしたハートコーンチェアです。

画像出典:集英社公式ホームページ

SPY×FAMILYのホームページ

6巻の表紙を見た瞬間、まず目に飛び込んでくるのはフィオナの鋭い眼差し。そして、その存在感を静かに支えているのがこの個性的な椅子です。

 

ハートコーンチェアアニバーサリー

画像出典:引用元

 

一見すると可愛らしいハート型。しかし近づいて見ると、その印象は大きく変わります。大きく張り出した左右の背もたれは、まるで翼のようにも見え、座る人を包み込むような力強さを感じさせます。

冷静沈着で任務を完璧に遂行するフィオナ。その一方で、胸の奥には誰にも見せない熱い感情を秘めています。柔らかなハートのフォルムと、シャープな造形が同居するハートコーンチェアは、そんな彼女の二面性を象徴しているようにも見えてきます。

 

〇「ハート」を浮かせた男、ヴァーナー・パントン

この椅子を生み出しのは、デンマーク出身のデザイナーVemer Panton(ヴァーナー・パントン)。1926年2月13日デンマークの首都コペンハーゲン中心部から北に位置する首都地域の都市で生まれました。

 

Verner Panton in His Studio

画像出典:引用元

日本では、大正15年加えて明治元年の年。そう、元号が改まった激動の年です。12月25日の大正天皇崩御に伴い昭和天皇が践祚(せんそ)し、大衆文化が花開いた大正デモクラシーの時代から、軍部が台頭し戦争へと向かう昭和の時代へと大きな転換点でした。

世界では、第一次世界大戦の平和条約(ヴェルサイユ体制)が確立する一方で、後の第二次世界大戦の引き金となる各国の政治的対立や新たな潮流が生まれた、まさに激動時代にパントンは生まれました。
彼は1944年(18歳)オーデンセ工科大学で学んだあと、1947年(21歳)からデンマーク王立美術アカデミーで建築を学びます。

 

彼は20世紀の家具デザイン界において「常識を疑う」ことを恐れなかった人物でした。

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ハートコーンチェアはの特徴は、細いスチール脚によって本体が軽やかに持ち上げられていること。椅子でありながら彫刻作品。家具でありながらアート。その境界線を曖昧にしたのがパントンの凄さでした。

 

〇空間の主役になる椅子

 

多くの椅子は空間に溶け込むことを目指します。しかしハートコーンチェアは違います。置いた瞬間、その場の主役になります。ホテルのロビー、ショップのエントランス、美術館のラウンジ、どこに置いても視線を集め、空間そのものの印象を変えてしまう力があります。それはまるで、登場しただけで場の空気を変えるフィオナ・フロストのようです。

 

今回の一脚
  • 〇名前:Heart Cone Chair ハートコーンチェア
  • 〇発表年:1958年(32歳の作品)
  • 〇Designer:Verner Panton(ヴァーナー・パントン)
  • 〇Brand:Vitra(ヴィトラ)

 

「ハート」という柔らかなモチーフを用いながら、決して甘くならない。可愛らしさと緊張感、優雅さと力強さを同時に成立させた名作です。だからこそ、『SPY×FAMILY』6巻の表紙でフィオナが座る椅子として、これ以上ないほど相応しい一脚なのかもしれません。

修正版

イラスト:シチロメグミ

次回、名門イーデン校の生徒で、国家統一党総裁のご子息ダミアン・デズモンドが座るウィロー1チェアの登場です!次回もキャラクター視点でお届けいたします。お見逃しなく!!