お知らせ ほぼ日記

VOL.4 部屋の中にもう一つの”自分の部屋”をつくる椅子。 ボールチェア

第四回は、「SPY×FAMILY」の4巻の表紙を飾る”プロジェクトアップル”の被験体で、未来予知能力を持つ犬、グレートピレニーズのボンド・フォージャーが座るボールチェアのについてです。何だかとっても未来的な椅子に見えますよね。

画像出典:集英社公式ホームページ

 

SPY×FAMILYのホームページ

 

ボールチェア

  • 〇名前:Ball Chair ボールチェア/グローブチェア(初期の頃のネーミング)
  • 〇発表年:1963年(31歳の作品)
  • 〇Designer:Eero Aarnio(エーロ・アールニオ)
  • 〇Brand:ADELTA(アデルタ)

画像出典:引用元

ボールチェア(グローブチェアとも呼ばれます)は、フィンランドのデザイナー、エール・アールニオにより、最もシンプルな幾何学形態の1つである「ボール(球体)」を用いてデザインされました。
ボール部分の一部を切り取って、それまでに無かった椅子を生み出しました。

 

画像出典:引用元

エール・アールニオは1932年7月21日、フィンランドの首都ヘルシンキで生まれました。日本では昭和7年。犬養毅首相が暗殺され五・一五事件が起こった年、満州国建国といった対外侵略が本格的に進んだ時代。フィンランドでは、反共産主義を掲げるラプア運動が支持を拡大する中、フィンランドとソ連の間で不可侵条約が調印されています。そんな中、彼はヘルシンキの芸術大学(現アールト大学)でインテリアデザインや工業デザインを学び、1962年(30歳)に自身の事務所を設立しています。

 

1962年からボールチェアのデザインに取り掛かり、プライウッドの鋳型とFRP※を用いて最初のプロトタイプを製作しました。エール・アールニオの自邸にて、その目を見張るデザインを目にしたAsko(アスコ)のプロダクトマネージャーが自社で製品化を取り付けたと言われています。

※FRP(Fiber-Reinforced Plastics)という素材は、繊維強化プラスチックという素材でガラス繊維などをプラスチックに入れて強化し、強度と軽さを併せ持つ素材のことです。

 

画像出典:引用元

 

製品化に至るまで数年を要し、1966年のケルン国際家具フェアで初めて公に発表されました。その後、Askoは1980年に活動停止したものの、1992年よりフィンランドのADELTA(アデルタ)社※が復刻を手掛けています。

※ADELTA社はエリエール・サーリネンの作品復刻を目的として1989年に設立されたブランドです。同社は、プラスチック素材が使われている名作家具を復刻し、広めることに注力している点が特徴です。

 

居心地がよく、穏やかな雰囲気を与えてくれる「部屋の中のもう一つの部屋」と称されるボールチェアは、外部の雑音から守られることで、まるで個室の中にいるような空間を与えてくれます(周囲の音を70%ほど遮断できるようです)。まるで宇宙空間にいるような感覚にもなるボールチェア。見た目のインパクトもあり、様々な映画やドラマ、CMにも登場しています。

 

アールニオと電話

画像出典:引用元

 

一人で瞑想にふけったり、読書をしたり、中で音楽を聴いたりするのにとってもいいなと思います。個人的には、このような区切られた椅子はとても好きな椅子です。幅が1,100、奥行きが970、高さが1,200のサイズなので、一般的な一人掛けソファよりも大きいサイズです。シチロさんのイラストでは2歳半の娘を座らせたものをお願いしました。その大きさが伝わればよいのですが。。。ただ、こちらの椅子の張り替えはまだ手掛けたことがなく、想像が膨らみます。エール・アールニオは現在94歳。いまの世界のデザインをどのような視点で見てるのでしょうね。

イラスト:シチロメグミ

次回は、ヨル・フォージャーの実の弟で国家保安局(SSS)の少佐ユーリ・ブライアンが座るバルセロナチェアの登場です!こちらもお楽しみにしてください!!