濃紺のピアノ椅子
懐かしい昭和の雰囲気の
ピアノ椅子の張り替えのご依頼です。
持ってこられた時は、
藁土手のみがついたような状態でした。
それ以外は、娘さんが取り外したとのこと。
側面の打たれている鋲や藁土手から、
当時の張られていた様子を想像します。
今回の張り替えでは、モダンな雰囲気にして
よみがえらせてほしいとのご依頼でした。
椅子の脚を見ると、
この椅子は回転式で上下するのではなく固定式の椅子でした。
ピアノの先生曰く、椅子の高さはとても重要とのこと。
椅子の高さを決めに、いまお使いのピアノ椅子の高さを測り、
クッションづくりに取りかかりました。
土台や土手は、固めのもので形成し、
長時間座っていても心地よいように
粘りのあるクッション材を使いました。
今回の張り地は、お客様が選んで頂いた
ミナペルホネンの”dop tambourine”
刺繍で、丸い輪っかが連続して描かれている厚めの生地です。
繊細に起毛された、肌触りの滑らかな両面モールスキンの布です。
使い込むうちに表の糸が擦りへることで、
裏の色が現れてくるようになっています。
時間をかけて変化を楽しんで欲しいという発想でデザインされた生地。
丸い刺繍の部分がポコポコとしており、
何とも可愛らしい。
張り上がると、
丸くコロンとしたピアノ椅子ができあがりました。
側面は、お客様が選んだ光沢のある縁飾りを
二重に巻かせていただいたことで、
エレガントな感じになったのではないでしょうか。
何ともモダンな感じで素敵なピアノ椅子が
できあがりました。
漆黒のピアノの前に置かれると、
また雰囲気がいいんだろうなと思いながらの
お渡しとなりました。
ご依頼、ありがとうございました。